発作的な

帰ってきちゃった発作的座談会

俺は椎名誠の本が好きで中高生のときはかなり読んでいた。なかでも「哀愁の町に霧が降るのだ」に始まる自伝的小説シリーズが好きで、ことあるごとに再読していたほどだ。
けど椎名本の中で一番好きな本といったら実はこの「発作的座談会」シリーズだったりする。
大の大人が下らないことを話すだけのシリーズなのになあ。
そしてついに最新刊である「帰ってきちゃった発作的座談会」がでた。もっとも、ここ数年は本の雑誌にも掲載されることもなく、終わってしまった感を悲しいながらも薄々感じていたので、新刊といっても新録は少ないことはわかっていた。
実際の内容は単行本未収録作品+過去の傑作選数本といったもの。
いやあやっぱり良いね。冒頭の「朝起きたら自分以外の人間がいなかったら」なんて抱腹絶倒。堅実に装備を固めて食料を集める目黒。どんどん高い所に上り人を探す木村。銀座デパートで好き放題する沢野。そして戦車で暴れる椎名。
朝起きたら自分以外いないという設定だったはずなのに、話していくうちに日本はこの四人しか居ないという話に変わっていく。戦車で新宿を通る椎名、そこで沢野が「おーい」って手をあげる。迷わず撃つ椎名。
この座談会特有の、話がどんどん無責任にエスカレートしていくのが好きなんだなあ。

目黒孝二の前書きと椎名まことの後書きで座談会が行われなくなった理由に触れている。理由は確かに解る、本人たちが全盛期のように出来ないと知りながらも悪あがきをしたことがちょっと嬉しい。たぶんまた復活するはず。

帰ってきちゃった発作的座談会

帰ってきちゃった発作的座談会

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