グレン・クローズえらい

運命の逆転 ★★★

史実を元にしたミステリ映画ってのはなかなか難しい。その事件が未解決なら特にだ。
例えばフィンチャーのゾディアックの場合、物語の山場として、明らかにこいつが犯人だろ的な見せ方をしたり(しかし、エンドクレジットでその後のDNA鑑定で否定されたことが明かされる)、怪しい人物の家の地下室に行くシーンをギャグなのかギリギリの見せ方をしたりして、なんとか映画としてクライマックスを強引に作っている。
けど、結局無駄だよね、だって犯人はわからないままなんだし。
で、「運命の逆転」だけど、完全に物語の山場を強引に作ることを拒否して、しかも一番盛り上がりであろう裁判のシーンも非常にあっさりしている。判決のシーンなんて写してもいない。
けどこの映画がうまいこと面白くなってるのは、やっぱり容疑者のジュレミー・アイアンズのおかげ。観ている人は彼が犯人なのか、善人か、悪人か、さっぱりわからない。はじめの印象は明らかに悪人なんだけど、だんだんそれが崩れて、実はいいやつなんじゃね?みたいになる。けど何を考えてるのか全然わからない。巧いなあ。

あと、死人が話し始めるのが面白い。被害者役のグレン・クローズはトイレで殺されるシーンを何度も撮ったんだろうなあ、そのたびにトイレの床に突っ伏すの、えらいなあ。

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