はてなダイアリーの一冊百選

 

沢野字の謎

沢野字の謎

本の雑誌」の表紙には毎号意味不明なコピーがつけられている。それはイラストレーターの沢野ひとしが考えたものだが、どれもぱっと見て意味不明なものが大半なのだ。
例えば今年の7月号には「父を図解しましょうか」とある。ちょっと考えたけどまったく意味がわからなかった、どーゆー意味だよ。

この本はその「本の雑誌」に不定期掲載されている「発作的座談会」シリーズの番外編的な存在。まずこのシリーズのことを書くと、ワニ目のイラストレータ沢野ひとしと放浪作家の椎名誠、弁護士木村晋介本の雑誌の元発行人の目黒考二の四人による座談会だ。話すことは本当に適当で、ほとんど居酒屋でのぐだぐだ話である。それがいいんだけどね。

で、本書はその沢野ひとしのコピーのなかで最強のコピーを決める座談会である。トーナメント形式で戦っていくのだが、彼の天才的なコピーはどれも意味不明で、書いた本人すら何を言いたいのかわからない始末。例えば

スガモの天プラ屋はすべてが安い

福井県にはでかい魚がいる

き然とした態度で妻とフロに入った

ネコの足跡をおったら春になっていた

もちろん巣鴨の天麩羅屋や福井県の魚には何の根拠も無い。彼は思いついたことを何も考えないでそのまま書いている。ぱっと見て意味不明だが読んでいるうちに「もしかしていいコピーなのか?」なんて思ってしまう。
ちなみに僕がすきなのは。

階段のあかりをつけたら妻がいた

人生も残り少なく 丼物は大きい

である。「階段のあかり〜」って怖えーよ。
ともかく彼が計算して書いたのか何も考えていないのか考えながら読むのも一興。
計算してたら天才だよ、ホントに。
次はid:daidaidaidaiさんお願いしました。